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虫愛づる姫君

先日、私の庭に珍客が来ました。鳥のメジロのような美しい鶯色をした生き物で、その羽音の大きさと美しい姿に、「オニヤンマ?それとも蜂?もしかして鳥?」と驚いている間に、どこかに飛び立ってしまいました。

冷静に考えて、スズメガの一種だろうと見当を付け、小学生の時から愛用している学習用の昆虫図鑑を調べ、どうやらオオスカシバという蛾らしいと分かったあと、インターネットで検索し確信できました。それが下の画像です。

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この画像は昆虫館の運営者であり撮影者の中橋徹氏より
許可を得て、加工・掲載しております。
一切の権利は中橋氏に帰属します。

オオスカシバの名前は漢字で書くと「大透かし羽」で、画像を拡大してご覧になると分かるように、透明の羽を持っています。それにしても美しい蛾ですね。

できればもう一度庭に遊びに来てくれればいいな、と思っているのですが、インターネットで見た幼虫の姿を見ると、やはり、訪問は歓迎するけど住みついて欲しくはないなぁと思ってしまいました。尤も、以前、紫式部(ムラサキシキブ)に、種類までは分かりませんが、スズメガの幼虫が住みついたときは、これだけ大きい(体長10cmくらい)と、何となく表情まで分かるような気がして愛着が湧き、丁度、冬に剪定し忘れて茂りすぎだったこともあり、好きなだけ葉を食べさえたことがありました。

やって来る虫も小さな庭の小さな自然の一部...とは言え、育てている植物を丸坊主にするようなヨトウムシやチャドクガは、可愛くも何ともないので見つけ次第駆除していますし、イモムシ、毛虫の類は、ふいに目にするとやっぱりギョッとします。こんな私は、とてもではないけど、「虫愛づる姫君」にはなれないなぁと思います。

虫愛づる姫君ってご存知ですか?
そう、堤中納言物語(つつみちゅうなごんものがたり)に登場する、あのユニークな姫君です。堤中納言物語とは、平安期に成立したといわれる短編小説集で、「虫愛づる姫君」を含む、独立した11話の物語で構成されています。

私が「虫愛づる姫君」を読んだのは、たしか高校生の古文の時間に、抜粋した文章を読んだのが最初だったと思いますが、とても面白い話で、対訳版を読み、さらに数年後に瀬戸内晴美氏の『私の好きな古典の女たち』(新潮社)に取り上げられているのを知って、この本で氏の素晴らしい解説と共に再読しました。

粗筋を簡単に説明すると、按察使(あぜち)の大納言の姫君という虫好きの姫君が主人公で、近所に住む蝶好きの姫君と比較され、家族や周囲の人からその風変わりな趣味を嘆かれていました。ですが、姫君は一向に介することなく、「世間の人が花や蝶を美しいものとして褒めそやしているのは浅はかよ。人間は誠実で、ものの本体を正確に探求しているのこそ、その人との気性も面白いというものだわ」などと言ったり、「特に毛虫が趣があって可愛いわ」と、童子達に変わった虫を集めさせては、その成長を観察していました。この姫君に興味を持った上達部の右馬佐(かんだちめのうまのすけ)もユニークで、毛虫のように毛深いあなたの様子を見てしまってから、あなたのことばかり、とりもちのように身から離れなくなりました。」などいう意味の歌を贈ります。(この姫君は、うっとうしいと言って、化粧やお歯黒もせず眉も抜かないので、それが毛虫のようだと思われていたようです)

聡明で、侍女によれば“お化粧すれば可愛い”けど、生意気で変わり者の姫君ですが、平安時代に書かれたものとは思えないほど、肯定的に描かれています。

 

さて、我が家の姫君(私)はというと、今夜も懐中電灯片手に「虫テデトール姫君」です。

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