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思い出の風景-ブルージュ-

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もう何年も前のことですが、ベルギーのブルージュを旅しました。

かつてはハンザ同盟に属し、毛織物の交易で栄えたこの町は、ブルグ広場に建つ市庁舎などにこそ、その栄光に思いを馳せることができますが、町中に走る運河の回りに並ぶ建物は低く、コンパクトで可愛らしい町という印象でした。

街並みは異なりますが、柳川の水郷のような長閑な雰囲気です。ところどころに柳の姿があったのも、威風堂々とした街並みが多いヨーロッパの都市とは異なり、どこか日本の風景を思い出させる一因だったのかも知れません。そう言えば、教会の裏のなんでもない場所に、当たり前のような顔をして紫陽花が咲いていました。ただ、この日は、雨の中が似合うこの花には似つかわしくないような晴天で、何とか自分のイメージ通りにしようとしたのか、ソフトフォーカス・フィルタを使っています。

紫陽花と言えば、ドイツ人医師、シーボルトがヨーロッパに持ち帰り紹介した日本原産の花で、かつてはその学名に入っていたオタクサ(otakusa)は、シーボルトが日本で愛した楠本滝-お滝さん-から付けられたそうです。

私はこの話を、『国際結婚の黎明』(講談社文庫/瀬戸内晴美編)という本で知りました。この本は、「人物近代女性史」というシリーズの中の1冊で、このシリーズでは、柳原白蓮、松井須磨子、クーデンホーフ・光子といった、主に明治時代に、自ら人生を切り開いていった女性達の人生が描かれています。 

多くの植物が苦手とする日本の梅雨に生き生きと咲く紫陽花は、外国産の植物を日本で育てるのにしばしば苦労するように、日本以外の場所では生育しづらいのかと思いがちですが、欧米でも一般的な植物のようで、ブルージュで見た紫陽花も見事に咲いていました。きっと、強健なだけでなく順応性もあるのでしょう。そう考えると、シーボルトが日本を追放された後も必死で生き、彼との間に生まれたイネを育て上げたお滝さんと重なるものがあります。

オタクサの名前は学名から消えてしまいましたが、オランダでは今でも紫陽花のことをオタクサと呼ぶそうです。ベルギーはフランス語とフランドル語(英語で言うと『フランダースの犬』のフランダース)が公用語ですが、ブルージュはフランドル語圏に属しています。フランドル語はオランダ語の古い言葉とか。もしかしたらブルージュの人達もこの花をオタクサと呼んでいるのかも知れませんね。

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